名無しさん感想4

ドキッ☆名無しさんだらけのクラナドSS大会


Cの夢人和人 Aの郷夏〜AFTER DAYS STORY〜 Bの木陰談議、惜別 まで感想つけられたらいいなぁ。
ネタバレ全開ちょっと辛口もあるよ、な感じですのでご注意くださいねー。


(23:20  Cグループ夢人和人、Aグループ郷夏 Bグループ木陰談義、惜別まで)





・夢人和人


 多分、そんなに書き慣れてない作者さんじゃないかな、と。丁寧に書かれていて文章は割と上手な方だと思いますが、どうもまだ所々にぎこちなさが感じられます。
 でも、何ていうか、すんごいセンスを感じるんです。文章にも、話の中身にも。
 幻想世界をどう取るかっていうのはちょっと意見が分かれそうですね。「僕」を朋也と取るか和人と取るか。前者の場合「傷ついた獣」は和人、途中からそいつを運んだ獣の集団は和人に関わった人たちってことになってそれはそれで都合良さそうですが、
 僕は安心して、振り返る。そして、気が付く。
 振り返った先には一本の線が引かれていた。傷ついた獣の血の跡。

 それは、彼女の元へ帰り至る道しるべ。


「――お帰りなさい、お兄さん……」
 ここ二つを踏まえると、「僕」=和人とした方が自然な感じなのかも。
 でも、うーん、やっぱり「僕」=朋也、「傷ついた獣」=和人の方が解釈しやすいんですよね。「僕」を和人とした場合、「傷ついた獣」が一体何を表現しているのかがちょっと分からなくて。
 なので、「僕」を朋也(実際の世界とはそんなに繋がっていない)、「傷ついた獣」を和人として考えたいと思います。
 幻想世界に囚われた和人。でも彼には行かなければいかない場所があった。帰らなければいけない場所があった。つまり、妹、有紀寧の元。最後のバイクはもちろん帰ってきた和人でしょう。
 ぼろぼろになりながらも、幻想世界の「僕」や仲間たちに助けられて何とか帰ってきた和人。彼が朋也と有紀寧に見せた夢。有紀寧には思い出を、朋也には叱咤を。二人に、というよりも有紀寧に幸せになってほしかったから、そんな夢を見せたんでしょうね。
 幻想世界の寓意を全て掴みきれているわけではありませんが、内容としてはだいたいこんな感じかな? 大きくは外れていない……ことを祈ります(笑)
 よくできていると思います。文章にも非凡なものを感じますし、幻想世界、有紀寧の夢、朋也の夢、二人の現実とよく書かれていますし。ちと露骨にあざとい部分も見受けられますが、許容範囲内。
 ただ、全体的にちょっと薄い感じがするんですよね。密度があまり高くないので、文章、中身の出来の割には読後残るものが少ない。この点が結構痛い。
 これ30kbあるんですが、そんなに必要だったのかな、と。例えば25kb制限(そんなの聞いたことありませんが 笑)だったとして、この作者さんならその中にまとめてしまうこともできたのではないでしょうか。20になるとさすがにちょっときついかな?
 基本的な力はある方だと思います。多分、割と長い話を好んで書かれるんじゃないでしょうか。でも、だからこそ、5kbや10kb、15kb制限で話を作ってみてほしいなぁ、と。これぐらいの短い尺で話を作ろうとすると、自然、語られる世界の密度は高くならざるを得ません。短い尺できっちり話をまとめられるようになったら、また一つ上のレベルに行けるのではないかと思う次第。


 んー、しかし相変わらず偉そうな感想だ……
 ごめんなさいです。






・郷夏〜AFTER DAYS STORY〜


 ほのぼのちょっといい話。
 敦子と汐のところに触れた作品は初めて読んだ気がします。そうなんですよね、汐のおばあちゃんなんですよね。忘れられがちだけど。
 いいとこ突いてきてくれました。ナイスです。
 ていうかやっぱ汐可愛いよ。
 文章にはまだぎこちなさが残ってる感じ。ラストを始め、所々ちとわざとらしい気がしないでもないです。
 朋也と汐、二人の未来に幸多からんことを。




・木陰談議


 これもまたほのぼのちょっといい話。渚と汐が可愛すぎる。
 妻を持ち、子どもができ、随分と大人になった朋也。直幸の苦労が分かるようになって、直幸の凄さが分かるようになって。いい話でした。
 でも日陰うんぬんの話にはちょっとあざとさを感じちゃうかなぁ。朋也と直幸の会話が何か台本染みてて少し冷めてしまったところも。
 この辺普段から注意して書いてないと、「自然な会話」ってなかなか難しいんですよね。特に伝えたいことがしっかりしてる時ほど、ついついクサめの台詞が出てきちゃう。
 自制しながら書く、ということを少し意識してみてもいいのではないかなぁ、と。






・惜別


 お互いの気持ちを分かった上で、それを忘れるための最初で最後のデート。切ないですねぇ。
 全体的にまだ書き慣れてない印象を受けました。文章にしても、展開にしても、ぎこちなさが残ります。
 シチュエーションとしては相当に好み。切ないの大好きです。
 後は料理の仕方をこれから覚えていけば相当いい作品を書かれるようになるのでは、と。
 最後に一箇所だけつっこませてください。


心の隅で生じた得体の知れない罪悪感を感じつつも、朋也もまた笑顔で彼女の側を歩き始めた。


 「得体の知れない」ってことはないでしょうさすがに(笑)