名無しさん感想5
他に感想を書かれてる方のとこ ⇒ Foolisさん、イクミさん、海老さん
久しぶりに酷い二日酔いを味わいました。ちくしょー。
そんなわけで、どんなわけだまぁいいや、今日が本当に閉め切りとなります名無しさん大会。感想行きたいと思います。
イクミさんが「あ、あんたの感想なんて楽しみなんかじゃないんだからねっ! 早く続きが見たいなぁなんて思ってないんだからねっ! 寂しくなんかないんだからねっ! もうっ、ちゃんと分かってるのっ!」って言ってたような言ってなかったような気がするんでがんばります。
今日はAの残り全部。つまり、銀杏、夏風の唄、ヤブレタラブレター、ゆきかぜ、こころの遠距離恋愛 まで行きたいなぁ。
ネタバレ全開辛口もあるよ、なんでそういうの苦手な方はご注意くださいませ。
(23:00 銀杏、夏風の唄、ヤブレタラブレター、ゆきかぜ、こころの遠距離恋愛 まで)
・銀杏
冒頭のアレは正直勘弁してほしいです。大分読む気が削がれます。
杏と智代がフュージョンしちゃうってのはなかなか面白いですね。もうちょっとそれを生かした性格付け、特殊な設定なんかがあるとなお良かったとは思いますが、この合体させちゃうってアイディアは良かったと思います。こういう突飛な部分があると、序盤からぐぐっと引き込まれますね。
文体は内容と合ってすごく軽快で、文章自体も割と慣れた感じ。それぞれのエピソードもなかなか面白かったです。
ただ、「小説」として話を書くのにはまだ不慣れなんでしょうか、台詞に頼るところがちょっと大き過ぎるかなぁ、と。加えて、どれが誰の台詞だか分からないところも多々。この点がちょっと痛過ぎる。
特に終盤、会話のみで表現する一つの技法というよりは、単なる手抜きにしか見えなかったりして。
面白い話を書くセンス、かなり持った方だと思います。是非とも磨いていって欲しいです。
・夏風の唄
いいなぁ。
素敵なほのぼのです。いい兄妹です。
何かが起こるわけでもなく、静かに穏やかに進んでいく話。話の中に出てくる風鈴のように、とても綺麗な話です。
背伸びをしないキャラ、極自然な形での芽衣と陽平。今回投稿された他の話では、無理のあるというか違和感のあるというかそんなキャラがちょっと目に付いたのですが、この作品の二人はそういったのが全く無くて。
文章も上手ですね。話の雰囲気そのまま、すごく落ち着いた文章です。
ちょっと「そして」の多さが気になったかなというぐらいで、それ以上特に難点が見つかりません。
素敵な話をありがとうございました。
今度はガチなシリアスものを読んでみたいなぁ、なんて思ってみたり。
・ヤブレタラブレター
退廃的な話。前の奴が前の奴なだけにこの落差がまた。
終始漂う危うげな雰囲気。すごくいい。作者さん、これ相当気合入れてますね。
文章はこなれていて、地の文の中に入れ込まれた暴力的なまでにダイレクトなメッセージにも、ほとんど違和感を持ちませんでした。
二つ目の記事のラストが秀逸。あそこが、この話の大部分を表してる気がします。
自分たちから動かない限り何も変わることはない。多分、本当はそのことを分かっているのに、ただ「何か、あるかもしれない」と期待して幸せな「何か」を待つ二人。それが滑稽で、痛々しくて。
賛否両論、まっぷたつに別れる話だと思います。アレルギーな方も少なくないでしょう。でも僕は好きだー。
・ゆきかぜ
可愛くて、でもちょっと大人な風子。ほのぼのらぶのちょっといい話。
でも風子よりも有紀寧の方にラブを向けたくなるのはきっと僕だけじゃないと思う。
うまくできた短編です。風子の可愛さと、破天荒さと、成長。よく表現されていて、すんなり入ってきます。
文章は割と上手な方だと思いますが、ちと微妙にぎこちないところもあったかなぁ、と。とはいえ気になったのはそれぐらいで、あとはうまくできていたと思います。お見事。
・こころの遠距離恋愛
長さの割にすらっと読める話。これ実は40kbもあるんですよね。
軽快痛快な文章がとても素敵です。
状況が飲み込めない様子の春原とは裏腹に、柚葉は心の中でそこらの自殺者より100倍も1000倍も強い覚悟を決めて、運命の言葉を吐き出す。
「実は私、ずっと春原センパイのことがすきゅでひゅっ!!」
そして自殺したくなった。
柚葉は真っ赤になりながらも上目遣いで視線は逸らさずに、
「えっと……、それがダメなら……お付き合いからでも」
譲歩した。
このテンポがすごく気持ちいい。多分、柚葉っていうハイテンション破天荒キャラがいるからできることですね。そういう意味でも、このキャラを作ってここに出してきたことは大成功だと思います。
今回一番楽しい話でした。次は何が来る何が来るとわくわくしながら読めました。
ただ、ちと終盤がきついかなぁ、と。序盤、中盤とコメディチックにテンポよく進んで来て、春原の悩みが本格化する辺りからひっかかりを感じちゃったです。
多分作者さんは普段あんまりシリアスっぽいの書かれない方だと思ふのですが。シリアス……ってわざわざいう程でも無いけど、話が真面目なところに入って来るところ、そこで一度筆を落ち着けるべきだったんじゃないかなぁ、と。コメディと同じテンポでシリアスチックなことやると、どうしても浮ついた印象になっちゃうんで。
あと気になったのは、あまりにも唐突な渚と、あまりにも唐突なラスト。
てっきり春原の好きな相手は杏さんだと思ってたんで、渚が出てきた時にはびっくりしたけど、ちょっと納得はできないかなぁって感じです。それ以前にそういう気配が全然無かったですよね。
ラストは多分時間が無かったのかな? 作者さんも承知だとは思いますが、話をまとめるために走り過ぎましたね。
すごく面白かったけど、すごくもったいなかったなぁ。次は完璧な奴を期待します。