名無しさん感想6

ドキッ☆名無しさんだらけのクラナドSS大会


さて、今日はB行きます。僕の所属してるとこです。
さよならの音色、捨てたかったもの〜、楽園 いきます。
ネタバレ全開辛口もあるよ、なんでそういうの苦手な方はご注意くださいねー。


(24:45 さよならの音色、捨てたかったもの〜、楽園 まで)






・さよならの音色



 これは好きだなぁ。
 今回唯一の仁科さん。切ない。
 文章はこなれていて、綺麗です。淡々と語られる一人称視点。内容と相まって静かに胸を打ちます。
 始まり方と終わり方が素敵。特に終わりは見事。
「髪、切って」
 ただこれだけの台詞で、よくもまぁこんな重みを出せたものです。
 で、いくつか気になった点を。多くの方が予想されているように、この作品は実に僕っぽいので(笑)、難点も見えやすいというか。
 まず、タイトルの効果。
 いいタイトルだと思いますが、「さよならの音色」って、一番重要なシーン(髪、切って。のとこ)に絡んで来てないんですよね。その一つ前のシーンに出てきて、それで終わっちゃってる。だから、「ヴァイオリンが最期に奏でた音」っていう言葉が頭に残りにくい。「髪、切って」があまりにも強烈ですから。できることなら、ラストの描写にもその音色を交えて欲しかった。「壊れたラジカセみたいに私の頭の中でリピートし続ける。」って最初にせっかくいいフレーズ持ってきてるんですから、その辺をラストにも入れ込んで欲しかった。
 もう一つ。同じくラストに関わることですが、「髪」の描写をもっと作中に入れても良かったんじゃないかな、と。ラストの台詞を際立たせるために。もうちょっと「お姉さんと同じ髪型」に対するこだわり、憧れを強く表現して欲しかったです。
 えーと、正直いって、普通の作品にはこんな感想つけません。この話をすごくすごく気に入ってるからこそ、こんな細かい要求を書きました。次もめちゃめちゃ期待してます。







・捨てたかったもの、捨てられなかったもの


 これも好きだ。
 上のと同じく、すごく切ないですね。
 好きって気持ちをずっと伝えたくて、伝えられなくて、耐えられなくなって。それが漏れるのと同時に、でも捨て去ることになって。切ねー。
 そしてこれまた上のと同じく、終わり方が秀逸です。データを消し去る。タイトルがすごく効いてます。
 文章は基本的にこなれた感じですが、ちょっとだけぎこちないところもあったかなぁ。
 気になった点ですが。これも実に僕っぽいので、難点が見えやすいです(笑)
 話の大部分が状況の説明になっちゃってますね。この尺でこれだけの中身を入れるなら、まぁこうなりますよね。もっと長い尺で勝負しても良かったんじゃないかな、と。多分時間が足りなかったんでしょうけど(笑)
 あとは、朋也の側の情報不足も気になりました。その場で「ごめん」と杏を振ったのは何故なのか。朋也の気持ちがよく分かりません。朋也は、少なからず杏のことを良く思っていたのでしょうから。
 「ごめん」の理由、それを推量できるだけの情報を書いて欲しかったかなぁ、と。単に僕が見落としてただけだったらごめんなさい……
 上と同じく、この話もめちゃめちゃお気に入りです。次も楽しみにしてますー。






・楽園


 うーん、これも好きだ(笑)
 多分今回一番あざとい話ですね。作りも、文章も。
 ただ、そういう「あざとさ」を書き慣れてる感じがします。何ていうんだろ? 綺麗にあざといというか、きっちりとあざといというか。
 文章はこなれてます。猫の一人称というちょっと特殊な形ですが、いやぁ、これはうまく書かれると思います。志麻くんの幼さというかショタさ(笑)というか、上手く出てますね。
 朋也と美佐枝とシマくん。多分、この三人はこれからもこんな感じでゆっくりと歩いていくんでしょう。いい話でした。
 さて、恒例の気になったところを(笑) 上二つと同じく、これも実に僕っぽく書いてくれてるんでやりやすいです(笑)
 最初にも触れましたが、全体的なあざとさ。
 入り込めればいいんですが、もし入り込めなかったら早い内から冷めちゃって全く楽しめないってことになりそうです。多分、そういう人も少なくないのでは?
 あと、話の緩急、舵の取り方にももうちょっと意識を払ってほしいかなぁ。ちょっとこれは他と比べても厳しい要求ですが、この作者さんならできると思ふの。
 また勝手に引用しちゃいますが
「夢を見た、って言ったら美佐枝さんは信じてくれるかな?」
 この辺から、話のスピードが上がっちゃってますよね。一番の山場なんだから、むしろそれまでよりもゆっくりと行くべきだったと思います。具体的には、地の文の割合を多くして、会話と会話に心理的な「間」を作る。それまでほとんど新しい情報の無い流れが続いていたので、一気に情報が出てくるこの場面には、そういった注意が必要だったんじゃないかな、と。
 それと、ラストかなぁ。
 綺麗な終わり方ですが、個人的な好みでいうと、もうちょい書き込んでほしかったです。序盤と比べるとどうしても密度の差が目立ちます。多分、その辺作者さんも分かってるんじゃないかな? 時間が無くて焦っちゃったのでは(笑)
 しかしこれまた偉そうな感想になってますが、やっぱりこれも、この話を気に入ったからこそのものだと思っていただければ。今後を超期待してます。