本多孝好新刊

正義のミカタ―I’m a loser

正義のミカタ―I’m a loser


 彼好きな人でもだいたい「ぶっちゃけ長編はイマイチ」と評する(と思う)本多孝好の新刊です。
 紹介とか面倒なんで転載しちゃうと

いじめられっ子の亮太は自分を変えようと「正義の味方研究部」に入部する。果たして亮太は変われるのか。いじめ、リストラ、格差。こんな社会で生きていかなきゃならない、将来が少し不安なあなたに贈る、書き下ろし青春小説。


 とのことです。青臭さぷんぷんですね。
 感想としては。
 面白かったです。それは間違いない。
 キャラが魅力的で、ジェットコースターな展開も悪くない。良き娯楽小説、といった感じ。
 絶対買えとまでは言わないけど、お金と時間に余裕のある方は買ってみてもいいと思います。
 余裕の無い方は文庫化を待つのも良いかと。
 以下微妙にネタバレあるかも。




 タイトル、「ミカタ」ついてはわざわざ触れる必要もないでしょう。つかタイトル見た瞬間に「あー、別の漢字充てさせたいんだなぁ」って思いますよね。
 今作、登場キャラたちが魅力的過ぎた、ってのが大きな欠点かもしれない。何ていうか、脇役キャラがいないんです。全部メイン張るべきキャラなんだ。でもそのそれぞれ全てを深く触れることなんてできないから、結果、全体として散漫な印象になってしまった気がします。
 分かりやすく例えると、あれだ、魅力的なヒロインがたくさんいるのに誰のルートにも行かずにエンドを迎えたギャルゲ、みたいな。
 何て勿体ないことを。
 で、思うんだけど、やっぱりこの人の力が一番生きるのは短編連作だよ。『MOMENT』みたいなさ。あれが上手くいったのだって、各エピソードで主人公の他にそれぞれメインっぽいキャラを一人ずつ出して、それに絞って話を進めていったからだと思うんだ。基本的に本多はいっぺんにたくさんのキャラを操るのが上手くないから。
 今回もそれぞれのキャラに一話ずつ充てて、その中で主人公を少しずつ成長させて、そんでもって最後に蒲原と向き合わせれば良かったんじゃないかなぁとか。今の形じゃ、せっかくの彼女の設定が活かされてない気がする。てか終盤彼女消えてるし(笑
 終盤の連続一対一(と書けば、読んだ人は分かってくれるはず)は熱くて良かったと思います。青臭いけど、でもそこがいい。やっぱりこの人は少人数を動かしてる方がいいわ。ただね、やっぱり、新のラスボスは蒲原であるべきだったと思う。そこの一対一をこそ見たかった。
 そんな感じで。
 結論としては、本多は短編連作(笑