エヴァこん感想2

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 11からラストまで。
 相変わらず辛口かつネタバレ満載な感じなんで、そういうのやーな人は通り過ぎちゃってくださいませ。






11 Take the "A" train


 アップテンポなのにところどころしんみりしてるし、がっつり落とすかと思ったら軽いノリですんなり通しちゃうし、割と好き勝手に書かれてる印象なんですが、でもそれでも話が壊れてないんですよね。すげえ。その辺りのさじ加減が実に見事でした。
 全体を通してすごく楽しい話でした。「アスカ」とレイのやり取りがとにかく好き。
 ただ、やっぱりちょっと走り過ぎかなぁと思わないでもないです。
 アクセル踏みっ放しで、次々とシーンが切り替わって、落ち着くところが無さ気なので。足が地についていない印象がちょびっとばかしあります。
 まぁその勢いこそが今作の特長でもあるのでしょうから、なかなか難しいところだとは思うのですが。








12 ボーナス・トラック


 いいなぁ。アスカかわいいなぁ。
 ほのぼのしてて良かったです。幸せでした。
 ただ、今企画のテーマにはイマイチ合致してなかったかなぁ、と。
 多分シンジのチェロが「音楽」に当たる部分なんだと思いますし、最後の方、アスカの「あたしが結婚式を〜」というセリフはすっごいナイスでしたので、それをもっと中心に置いた構成にしてみるのも良かったかも。
 あとは、ちと色が薄いかなぁという気がしました。割とよくあるような話をよくあるようにまとめた感じで、特に際立ったところが無いといいますか。
 こういう、他と比べられることを前提とした競作の場では、もっと独自の色・味を出しにいった方がいいかもしれません。








13 largo


 不器用なレイがとても可愛いです。抱きしめたい。
 まだあまり書き慣れてない方でしょうか、「小説」とするには、全体的にちょっと書き込み不足かなぁと思います。
 もちろん、今作は二次創作として十分楽しめるものになっていると思います。
 ですが、ここが競作の場あることを考えるとちょっときついかなぁという感じ。決して悪い話ではないのですが、相対化して点数をつけるとなると、これだけではどうしても落ち込み気味になっちゃいます。ごめんなさい。
 これからがんばって欲しいなぁ、なんて思ったり。偉そうでごめんなさい。








14 あすか


 音楽に害され、音楽に癒される。テーマど真ん中の作品でした。
 文章は上手なんですが、もっと洗練できたんじゃないかなぁとも。
 アスカの一人称だけどすごく客観的に書かれている印象。
 それは別に悪いことではないと思うのですが、ただ全体を通してちょっと説明的過ぎたような気がします。
 そういうところもあって、感情移入はしにくかったです。まぁ最初からそれを求めてはいないのかもしれませんが……
 あとは、見せ場という見せ場もありませんし、突き抜けた何かが欲しかったかなぁ、と個人的には思ったり。








15 幸せのテーゼ


 何でもない、幸せな日常。ほのぼのしてて良かったです。
 そんな感じで決して悪い話ではないのですが、でもここが競作の場であることを考えるとこれだけではきつい気がします。他と比べられることを前提とした企画ですので。
 「綾波レイは〜」などの反復も、特に効果があったようには思えませんでした。
 場が場なんで割と厳しいこと書いてますが、一つの二次創作としては十分に楽しめるものになっていると思います。
 今回の経験を糧にしてがんばって欲しいなぁ、なんて思ってます。偉そうでごめんなさい。








16 ミュージックタイプ・ブルー


 作者さんはアホだと思います←超褒め言葉
 レイが無表情でハリセン持って駄目駄目言いながら周囲をぶっ叩いて回る姿は、何ていうか、もうとても素晴らしいと思います(笑
 普通に文章上手いしこなれてるしオチもしっかり用意されてあるし、これはとてもいい才能の無駄遣い……もとい有効活用ですね。
 会話主体で描写が少なめなので、ちょっとだけ状況が分かりにくい、というところはありましたが、まぁ多分それを覚悟の上でノリ、勢い、テンポを重視されたんでしょう。
 あとは、前半の壊れリツコやハリセンレイやバサラロンゲが強過ぎて、それらと比較した時後半により大きな笑いどころが存在しなかった、というのも改善の余地があるとこかなぁと。
 とりあえずハリセンレイは今回ナンバーワンキャラだと思いました(笑








17 Melody of summer


 これいいなぁ。よく雰囲気出てます。8kbしか無いのに。
 書くことを必要最小限に抑えて、25kb制限の中、敢えて短さ・読みやすさで勝負してきた感じ。
 それを狙ったとしたらその実に見事な手際に嫉妬せざるを得ませんし、狙わずに今作が出てきたとしたらそれはそれで超嫉妬。
 ラスト、三人称から一人称への移り変わりも自然かつ効果的。この辺もさらりと上手いです。
 ただ尺のせいもあって他作品と比べた時内容はそう濃いものではないので、9点10点なんかはちょっとつけにくいかなぁ、と。6,7,8点辺りをがーっと集めそう。
 個人的には上に行って欲しいお話です。








18 壊れぬ心


 うーん、いきなりクライマックスシーンだけ抜かれてきても……
 ごめんなさい、正直、ついていけませんでした。
 書きたいことは分かりますし感動的なシーンだとも思います。ですが、これだけでは成り立ちえないんじゃないかなぁ、と。いくらなんでもフリが足りな過ぎると思います。
 文章も雰囲気を出そうとしているのは伝わってくるんですが、如何せんちょっと粗過ぎて作中に入って行きにくいです。
 起承転結、筋道立った物語を意識して書かれるといいんじゃないかなぁ、なんて。偉そうでごめんなさいです。









19 夏の音色


 ものすっごい上手い。最後にすごいの来たなぁ。
 文章も、話の持って行き方も、終わらせ方も、全てが高いレベルでまとまっています。
 特にラスト五文は、冒頭と相俟ってしみじみ具合が半端じゃないです。
 設定の活かし方も見事。
 光も香りも味も触れ合うことへの実感すらも失ったシンジが最後に音さえも失ってしまわない内に、アスカは音楽で自分の気持ちを伝えようとする。彼の中に残ろうとする。
 もうね、これすさまじくナイスな展開です。神設定神展開。
 ただ一つだけ不満だったのは。
 そこの設定が超素敵だったから、だからこそ、「最後に唯一残った感覚が聴覚であること」をもっと前面に押し出して欲しかった。そういう描写でアスカの演奏の意味を更に深いところへと持っていく話になっていたら、まぁ間違いなく僕は泣いちゃってました(笑
 これ一位だろうなぁと思ってます。三位以内は間違いないかと。というわけで、上位おめでとうございます(笑