バトこん感想13〜15



 13 魔引き


 飾り気の少ない、素朴な文章。結構好きです。主人公の少年にもぴたりと。
 この手のものとして割とありがちな話ですが(死んだ母親が子供を連れて行こうとする、助っ人、この子はまだ生きてるんだ的な説得、実は助っ人は……など)、思った以上に楽しめました。好感の持てる質朴な少年を主人公に持ってこられたのが大きかったのかも。
 ただ、話の中でも特に重要であるべき母親の説得部分をちと簡単に済ませ過ぎかな、と。あれぐらいで納得するなら最初から子供を連れて行こうなんてしないだろうと思ったり何たり。母親のカタカナ言葉もちょっと狙い過ぎな感じがしました。
 話自体も、もうちょっと練りこめたんじゃないかなぁ。お婆さんの話とかタイトルの"まびき"の話とか、もっと入れ込んでいっても良かった気がします。


 作者さんはちょっと予想つきません……







14 トラップ・ドラッグ・トラップ 〜トラドラトラ!


 結構重かったり硬かったりする話が多い中、ノリのいい文章で気持ちいいぐらいに堂々とラブコメってくれました。ナイスです。
 ちょっとあざとさを感じるところも多少ありましたが、話の展開のさせ方やキャラ造形、素敵なオチと全体的によくできた作品だったと思います。
 タイトルからするに、もちろん某ゆゆこ先生の作品を意識されたものなのでしょう。良きラノベ、といったところ。難しいこと抜きにして、単純に、楽しかったです。
 なんちゅーか、あれですね。他の参加者が変化球やコースをついた投球術で読者を打ち取ろうとしているのを全くもってシカッティングして、おらあああああああああ何か文句あるかあああああああああと150kmをど真ん中に投げ込んだ感じ。何の文句もありません。
 ただ、冷静に見ると、バトルこんぺという場故に通常よりも多少高い評価を得そうではあるかな、と。普段のこんぺ(二次創作系やここでのオリジナルこんぺ)では埋もれちゃってた系の話かもしれません。割とスタンダードなラノベだと思いますので。変なの(という言い方はちと失礼ですが)が集まることを見越しての今作であったならば、作者さんの見込み勝ちと言えそうです。


 これもまた作者さん予想つかず。多分僕の知らない方のじゃないかなぁ。






15 私の感謝する方法


 この尺で主人公格を四人も用意して、それぞれのキャラがきちんと立っているのは凄いなぁ。羨ましい。
 多分結構書き慣れた方だと思います。基本的に文章は上手んですが、でも、もうちょっと洗練できたんじゃないかなぉと。ところどころひっかかりを覚えました。
 冒頭で長々と状況・設定の説明をするのは結構大きなマイナスになっちゃうかな。「掴み」はイマイチだと言わざるを得ません。
 「仮面男」が主人公たちを信頼するに至ったところは、唐突でちょっとはてな。そういうところを含めて、全体的に詰めが甘いなぁという印象がありました。
 タイトルから考えると、結局このお話はリージェとダイナスのためにあったとするべきなのでしょう。でも、そうすると、ちょっと話が色々ぶれちゃってるかなぁという気がしないでもありません。
 初めに書いたように、それぞれのキャラやその掛け合いがとても魅力的な今作でした。この話を、そんな彼女らが織り成す冒険譚の一部だとするのなら、もしかすると、ぶれちゃったのはタイトルの方なのかもしれません。


 あれ、三つ連続で作者予想できません(笑)