ろりこん2感想9〜14


9 AS ALWAYS


 好きです。
 何が好きって、まず何よりこの空気。意味があるような無いような、何かを掴めそうな掴めなさそうな。大好物です。
 小洒落た文体に気の利いたやり取り。とてもいいです。もう致命的に好み。ストーリー性はほとんど無いのに、「何となくいい話」で持っていかれちゃう。そしてそれが気持ちいい。
 こういう言い方するのはあまり良くないのかもしれませんが、多分、作者さんも全てを分かって書いてるわけじゃないと思う。半分ぐらい読者の気持ちで、「僕」となずなを見守ってたんじゃないかな。
 「僕」のこともなずなのことも理解しきれないけど、読んだ後に「ああ、何か良かったな」と思える。そういう話だったと思います。
 大分雰囲気勝負な話だから合わない人には合わないだろうけど、それでも上位は間違いなさそう。
 いやしかし、実に本多孝好でした(笑)











10 四十センチ


 大人には理解できない、少女特有の「不思議さ」が上手く表現された話だったと思います。
 実体験を基にしたんじゃないかと思うぐらい奈々ちゃんが少女で、それに対する「僕」の思考も実にリアルでした。
 ラストには色々気になるところがあって、例えば佐藤さんが引っ越した理由とか、奈々ちゃんに何が起こったのかとか、それら二つの関連性とか。
 でも、そういうパーツに物語上の必然性を求めることが既に、「四十センチ下の世界」を見られなくなった人間の固まった思考なのかもしれませんね。
 一応、いくつか辻褄の合うストーリーを考えたんですが、どうしても暗い話になってしまいます。助けてください(笑)











11 ある一般家庭という言葉の『一般』という文字に激しく疑問を感じる一般家庭における家庭内恋愛事情


 遊びましたねぇ(笑)
 とにもかくにも「年上の姪、年下の叔父」をやりかったんでしょう。奇妙で、とても面白い設定でした。
 お話自体も楽しくて、真ん中太文字も実に効果的。「悲劇」だと分かっていながらも、つい笑っちゃいました。
 ただ、やっぱり全体を通して説明過多だったかなぁ、と。
 関係が複雑な分、どうしても状況や背景の説明が多くなってしまうものだと思います。ですが、それにしても、地の文のほとんどが説明になっちゃってるのは大きなマイナスに違いなくて。
 前述の通り設定や展開は面白かったので、もっと上手く料理できればさらにナイスな話になったんじゃないかなぁと思います。











12 イトコ★オンライン


 ハーレム万歳。
 女の子三人がとても可愛かったです。キャラも立ってますし、彼女たちのやり取り(戦い)も実に楽しかったです。
 ただ、ミスリードは途中で予想がついちゃいました。視点がころころ変わる意味を考えると。
 恐らくはミスリードを生かすために全てを構成されたんだろうなと思います。上手くで考えられていたと思いますし、オンラインゲームを使うというのもナイスでした。
 でも多分その辺の影響もあって、物語の中で、状況や背景の説明が占める部分が大き過ぎたような気がします。叙述トリックに気持ちが行き過ぎちゃったのかもしれません。
 地の文の多くが上述したような「説明」で、情緒や雰囲気を作り出す文章、もっといえば文章自体を楽しませるような部分が無かったかなぁ、と。
 物語の大元にある設定はとても魅力的でしたし、今のままでも面白いことは間違いないと思います。さらに要求するなら、ということで。










13 doll


 小林と絵梨が可愛過ぎます。特に小林。ください。
 全体的によくできた話だったと思います。
 キャラも立ってますし、展開もスムーズですし、ミスリードも良いアクセントになってます。ラストはやや尺の不足かなと思わないでもないですが、それでもきちんとそれらしく締まってる。正しいラノベ、といったところでしょうか。
 気になったこととしては、そもそもこの話の設定がこの尺向きではないということ。今作はあくまで三人の紹介みたいな話で、ここから短編連作みたいな形で続いていきそうな感じがあります。
 続きが読みたいと言えば褒め言葉にもなりそうですが、少なくとも僕はマイナスの方に感じましたです。










14 二人きりの保健室


 何より天間のキャラがとても魅力的です。
 子どもらしからぬ子どもというのはそう珍しいものでもありませんが、この天間はそれを極限まで押し進めた感じ。ここまで超越されると逆に気持ちいいです。
 主人公もいい味出してます。天間とのやり取りから見て取れる苦労性なところや、小山内先生と対面した場面でのちょっと青臭いぐらいの熱さ。若いなぁとか思いながらも、しっかり共感してしまう自分がいます。
 ただ、魅力的で間違いなく最重要であるはずの天間というキャラが、話の途中ですっぽりいなくなっちゃうのが悲しいなぁ、と。
 多分この話の主題は「教育論」であって、それを語るために天間を思い切らせたんだと思います。でも、天間の出てこない後半はどうにも刺激に欠けちゃってて。その部分にこそ天間を絡ませて欲しかったと思ったり。
 そんな感じで、正直完成度はそんなに高くないと思うんですが、色々呟きながらも結局楽しめたのでこの点数(結果が出るまで秘密)。
 掲示板によると「まだ数える程しか話と呼べる物は書いた事がなく」ということですが、作者さんの今後をストーカーしていきたいなぁと思う次第であります。